漫画: 冬目景
あらすじ
真百合と出会い建物の記憶を視る能力に目覚めた土神。大学で建築を学びながら建物たちの過去に触れるうちに、著名な建築士であった祖父の存在が気になり始める。
そんなある日、土神は学内の旧図書館で血痕の幻を目にする。かつて死亡事故があったと噂されるその場所で、何があったのか…!?生前は疎遠だった祖父との奇妙な縁が土神を新たな世界へと導いていく…。
感想
建築士の所でアルバイト中、模型作りが上手いと褒められ、現場も見ていないのに、図面だけでバルコニーからの眺めをささっと描いてしまう土神。空間認識能力に長けているんだなぁ。
度々、祖父について尋ねられる。あまり家族に顧みない祖父だったため、祖父の良い印象がないようだ。いつも暗いトーンで会話してますね。
取り壊し前の家を見学。チューダーの木骨(ハーフティンバー)様式・・・私には何が何だかな単語ですが、北方ヨーロッパの木造建築の技法らしいです。私の印象的に、ハウステンボスとかにありそうな建物かな。
その家主は、亡くなった母が大切にしていた家を受け継いだが、相続税が払えず取り壊すという。母とのわだかまりを抱えたまま家を飛び出した娘さん。”家と私はどちらが大事だったのだろう”と感じていたようでした。そこでまた、家の記憶に触れます。
「やっぱり、この家が何か云っている。」
”柱に身長を刻んでいた記憶”を見た土神。柱を見つけ家主へ告げると、家を残したいという展開になりましたね。
人に歴史があるように、家にもその家の歴史が知らず知らずのうちに積み重なっているようです。祖父のこと、父との関係性、土神の抱えるもやもやと、話が絶妙に噛み合っていて、なんとも言えないです。