Midnight the Gathering

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僕なりの愛ですよ

チ。―地球の運動について― 第03巻 読破

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漫画: 魚豊

あらすじ

絶望の淵で、意志を穿つ、覚悟はあるか?

 

「地動説」に魅せられたグラスの想いを受け継いだオクジーは、一縷の希望を胸に、孤高の天才修道士・バデーニの元を訪れ、石箱を引き継ぐ。そして、オクジーとバデーニが「地動説」証明のための新たな協力者を募ったところ、「女性に学問など」という時代に押し潰され、世界に絶望する少女が一人。

 

一度見えた希望を失い絶望の淵へと突き落とされた人間は、再び希望を求め、意志を貫き通すことはできるのか? 持てる選択肢は二つ。それでも意志を貫くか、否か。

感想

現代ではポリコレなるものがあるほどだが、昔は”女性”という理由から、色んな意味でないがしろにされていた。学びへの探求心が強いヨレンタもその一人で、自分が書いた論文を取られてしまうことになる。さらに論文を取った相手からは、「女性の論文なんて誰が読むの?」なんて言葉が出て来るほど、さも平然と言ってしまえる環境・時代だったようだ。それだけで片付けていいのかわからないけど。

 

ヨレンタを引き込むバデーニの話術が凄い。そもそも掲示板の回答者が彼女だと分かった上で、あえてその事には触れず、彼女の心を揺らすような言葉を選んでいる様でした。そして、ヨレンタは彼らと行動する事を選ぶことになります。

 

ヨレンタとの繋がりから、天動説の研究を行う貴族であるピャスト伯に研究のデータを見せてもらうよう願い出るが、当然却下される。しかし、死期が近い彼は過去を振り返り、再度彼らを呼び戻しある提案を出す。

 

オクジーの驚異的な視力により、金星が満ちている事実を確認する。この時点で地球中心という説は否定される事となる。ピャスト伯のこれまでを鑑みると、一瞬で無駄な人生だったと結論付けられるのは、なかなか受け入れがたい事実である。しかし、真理には抗えない。資料室の鍵を手放せないでいる彼の心境は、察するに余りあるなぁ。

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